転倒骨折は要介護のリスクが潜んでいます(大腿骨頸部骨折)


年々増加している大腿骨頸部骨折転んで立てなくなったら要注意

大腿骨頸部骨折は、高齢化に伴い増加している骨折の一つで、骨粗鬆症で骨がもろくなっている方に多く、要介護の原因にもなっています。平成10年から平成13年に、国内すべての整形外科を対象にした大腿骨頸部骨折の調査によると、患者数は80~84歳が最も多く、治療に要した入院期間は平均56日。入院前より自立度が低下したという報告結果が出ています。

大腿骨は下肢にあり骨盤を支える骨として、歩行、運動、姿勢保持など、さまざまな部分で重要な働きをしています。大腿骨の付け根の部分を大腿骨頸部といい、身体を支える役目を果たしています。大腿骨骨折の中には、大腿骨頭骨折、大腿骨頸部骨折、大腿骨転子部骨折、大腿骨転子下骨折の4つが含まれますが、ここではまとめて大腿骨頸部骨折と呼んでお伝えします。大腿骨頸部骨折はおよそ9割が転倒によって起こります。骨折をすると足の付け根が痛む、自力で立ち上がれなくなる、足が不自然な方向に向いている、触られると痛いなどの症状がみられます。転倒がきっかけでこのような症状が現れたら、速やかに受診した下さい。

 

 

 


 



大腿骨頸部骨折の治療法

治療法は、「手術療法」と手術を行わない「温存療法」がありますが、高齢者の場合は、なるべく転倒前の運動機能を保つために手術を行うことがほとんどです。手術には、骨折した場所や骨のズレ方によって、医療用のネジで骨折部を固定する「骨接合術」と骨折した骨頭を切除して、人工の骨頭に置きかえる「人工骨頭置換術」があります。

術後は早めのリハビリが大切

大腿骨を骨折すると、歩行が難しくなるだけではなく、病院のベッド上で寝たままの状態でいることにより、筋力が低下し関節が固まって動きにくくなります。特に高齢者の場合、排尿便、食事、更衣、入浴などの生活動作にも支障をきたすほか、安静にしていることによって起こる二次的障害や誤嚥性肺炎、静脈血栓寒栓症、脱臼、せん妄などの合併症が起こりやすくなります。これらのことからも解るように、骨折により長期入院を余技なくされることで、その後の生活に大きな影響を及ぼすことにもなるのです。現在では、術後の翌日から、ベッド上で下肢の訓練を開始徐々に座れるような訓練を行っている病院が多く、ベッドから離床したら、車いすでの移動やつかまり立ちの訓練をすることが一般的なリハビリです。大腿骨頸部骨折の場合、早めの手術と早めのリハビリにより、早期退院をすることが重要になってくるのです。

高齢者の転倒事故は室内が多い

前述したように、大腿骨頸部骨折の原因の9割は転倒が原因です。原因は大きく分けて、内的要因と外的要因があります。内的要因とは、疾病、機能障害、老化等による身体機能の低下によるものです。ここでは、住環境の不備による外的要因に関してお伝えします。家庭内の高齢者の不慮の事故の割合をみると「転倒」によるものが60%と一番多く、居間、茶の間、リビング20.5%、玄関、ホール、ポーチ17.4%、階段13.8%、寝室10.3%(平成22年高齢者の住宅と生活環境に関する意識調査結果)で、安心だと思っている室内に実は多くの危険が潜んでいるのです。
 例えば、敷居などの段差、板の間や廊下から畳の境目、居間にある電気コード、カーペットの折れ端、フローリングなどの滑りやすい床材、暗い廊下などがその一例です。
 じゅうたんやマットは、撤去するか端をめくれないように固定する。段差には目印を付ける。足元を照らす照明をつけたりするなど、視覚の衰えを補う工夫も有効です。歩くときに障害となるものは取り除き、電気製品のコードを束ねるなど、少しの心掛けと住環境を整備すことで転倒を予防しましょう。また、スリッパやサンダルは足を床にすって歩くため、ちょっとした段差でもつまずきやくすなりますので注意して下さい。

転倒しないための予防と万が一転倒しても衝撃を減らす工夫

転倒しやすい理由の一つに歩き方があります。高齢者は、視線が足元に落ち、ちょこちょこと歩く「すり足」気味になりがちです。この歩き方では、かかとから着地していないため、つまずきやすく、とっさの一歩が出にくいため転びやすい歩き方なのです。
最近では、つま先を上に引っ張る構造をもった特殊な靴下もあります。このような靴下を活用するのも転倒予防対策の一つかもしれません。しかし、いくら転倒予防をしても転倒しなという保障はありません。転倒した時に、外から加わる衝撃を和らげるため、ヒップの両側に衝撃を吸収するパッドを入れたパンツ「ヒッププロテクター」を着用するのも転倒時の対策の一つです。

筋力を強化しましょう

転倒を予防するために、日常生活の中に軽い運動を取り入れることによって、足の筋力アップやバランス能力が改善されます。ウォーキングやリズム運動、ラジオ体操などの総合的な運動も効果的です。無理せず少しずつ毎日の生活に取り入れましょう。

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