高齢者に多い疾患 認知症⑥(全頭側頭型認知症)

 

 

 

 

 

前頭側頭型認知症とは
前頭側頭型認知症には、いろいろなタイプの認知症が含まれますが、ピック病が有名です。大脳の前頭葉・側頭葉が著名に委縮することが特徴で、比較的若年(65歳以下)で発症する例が多い疾患です。全国における若年性認知症患者数は387万人で、前頭側頭型認知症の患者数は全体の3.7%にもなります。
前頭側頭型認知症は、正しくは「前頭側頭葉変性症」と呼ばれる脳細胞の変性・脱落による疾患で、進行性非流暢性失語、意味性認知症などのさまざまな疾患を含みます。
前頭側頭型認知症では、初期段階から性格の変化や社会的行動の障害が見られます。そのわりに物忘れはあまり目立ちません。例えば、騒がしくなる。急に買い物ばかりをする(浪費)。万引きをする。お店の物を勝手に食べる。人の家に勝手にあがる。人を馬鹿にしたり無視したりするなどの人格や情動の障害や、常識を逸脱するような行動異常が出現します。ただし、異常行動は見られますが、レビー小体認知症のような幻覚は後頭葉の症状ですからみられません。
前頭側頭型認知症の原因や治療法はまだ十分には解明されていません。また、アルツハイマー型認知症や脳血管性認知症などに比べると、患者数が少ないため、うつ病や統合失調症といった精神科の病気と誤って診断されるケースもあります。
前頭側頭型認知症の検査方法と治療法
頭部CTやMRI検査で、大脳の前頭葉、側頭葉を中心とした委縮が確認されれば、全頭側頭型認知症が疑われます。SPECT(脳血流検査)やPET検査などの神経機能画面像では、多くの場合、血流や代謝が明らかに前頭葉や側頭葉で低下しています。
前頭側頭型認知症の症状を改善したり、進行を遅らせたりするための有効な治療薬は、残念ながらまだ確立されていません。そのため、人格や行動の障害に対して、薬物による対症療法で、症状を観察しながらケアしていくことが大切です。

 

 

 

 

 

 


認知症に関する基礎知識

特集「認知症」では、様々な認知症についてご紹介いたしました。もう一度、主な認知症について、おさらいしてみましょう。
認知症とは、いろいろな原因で脳の細胞が死んでしまったり、働きが悪くなったりするために、さまざまな障害が起こり、生活するうでで支障がでている状態(およそ6ヶ月以上継続)を指します。認知症を引き起こす原因疾患として、脳の神経細胞がゆっくりと死んでいく「変性疾患」が最も多く、アルツハイマー病、前頭側頭型認知症、レビー型小体病などが含みます。そのほかには、脳梗塞・脳出血・脳動脈硬化などが原因で、神経細胞が死んだり、神経のネットワークが壊れたりして生じる、脳血管性認知症があります。
■アルツハイマー型認知症
アルツハイマー病では、最初に、側頭葉内側部(海馬)の脳神経が減少していきます。この部分は、短期記憶をつかさどる場所であるため、症状としては「つちさきほどの記憶」が思いだせなくなります。症状が進行すると、大脳のほかの部分の機能も低下し、自分の居場所が解らないなどの「見当識障害」や「判断力の低下」などの症状が現れます。中期になると最近に起こったことほとんど覚えていられなくなり日常生活に支障をきたすようになります。
■レビー小体認知症認知症
レビー小体(パーキンソン病で脳幹部に特徴的に現れる、神経細胞の中の特定のたんぱく質が蓄積する構造物)が大脳皮質(特に後頭葉)に出現し、認知機能が障害されて起こる病気です。後頭葉は視覚に関係するため、実際には存在しないものが見える「幻視」や「妄想」等の症状が現れます。また、気分の変動が大きく、無気力な状態や、時には興奮、錯乱などを一日の中で繰り返します。また、運動機能に障害が現れ、筋肉がこわばる、前傾姿勢で小刻みな歩行が見られるなど、パーキンソン病に似た症状が現れます。多くの場合、記憶障害や見当識障害が少ないため家族でも発見が遅れることがあります。
■脳血管性認知症
脳の血管の病気(脳梗塞や脳出血)によって引き起こされる認知症です。脳血管障害そのものによる後遺症は、障害された脳の部位によって異なり、さまざまな症状(麻痺、言語障害など)が現れます。脳血管障害を繰り返すと脳の機能が大きく障害され、その症状が段階的に悪化していくケースがしばしば見られます。記憶が大きく低下しているのに、判断力は比較的しっかりしているような「まだら認知症」なども特徴的にみられます。
■突発性正常圧水頭症
脳室の拡大により、周囲の脳組織が圧迫されることにより、非特異的な認知症、歩行障害、尿失禁の3つが主な症状として現れます。著しい人格の変化などは現れず、集中力の低下や自発性がなくなるなどの軽度の症状が多い傾向にあります。他の認知症と異なり、手術により治療可能な認知症です。

 
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認知症の正確な診断には、専門医のいる病院を受診して下さい。専門医の多くは「もの忘れ外来」「認知症外来」「精神科」「神経科」「精神内科」「脳外科」「老年科」にいます。
専門医のいる病院やもの忘れ外来が何処にあるのかを知りたい時は、お住まいの都道府県や市町村の高齢者福祉担当窓口。お住まいの地域の保健センターにお尋ね下さい。また、認知症の人と家族の会のホームページからも検索できます。
http://www.alzheimer.or.jp/

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