高齢者に多い疾患 認知症⑤(突発性正常圧水頭症)

 

 

 

 

 

■特発性正常圧水頭症とは

認知症は、一度かかったらもう治らない病気と思われがちですが、治療できるものもありますので、診断が非常に重要です。そして、手術により治療可能な認知症として最近注目されているのが、突発性正常圧水頭症です。

頭の中で、脳と脊髄は隋液と呼ばれる液体の中に浮いています。隋駅は、脳室(脳の中にある空間)の壁(ここには毛細血管がはりめぐらされています)からしみ出し、頭蓋骨と脳のすき間にあるくも膜下腔を循環して吸収されていきます。隋液の吸収が何らかの原因で悪くなると、隋液が増えて脳室が広がり、脳も圧迫されて働きが悪くなるので、様々な症状が現れてきます。これが水頭症です。

水頭症には、隋液の環境が悪くなる原因がはっきりしない「突発性」のものと、原因が明らかな「続発性」のものがあります。また、ゆっくりと隋液が増えてくる場合には、隋液の圧力が正常なので名前に「正常圧」とつきます。ここでは、認知症の原因として重要な「突発性正常圧水頭症」についてご紹介します。

突発性正常圧水頭症は、脳室の拡大により、周囲の脳組織が圧迫されることにより、悲特異的な認知症、歩行障害、尿失禁の3つが主な症状としてあらわれてきます。なかでも歩行障害が最も重要な症状で、足があげづらくなったり、歩行が小刻みになったり、すり足で歩くようになったりします。また、方向変換(Uターン)する時にふらつきが強くなるのも特徴です。パーキンソン病の歩行とちょっと異なるのは、少しガニ股で歩くことや、目印や声かけで歩行が良くならないことなどです。

また、突発性正常圧水頭症の認知症は、その他の認知症でみられるような、人格の変化などは現れず、集中力の低下や、自発性がなくなることなどの軽度の症状が多い傾向があります。

さらに、トイレが非常に近くなったり、歩行障害もあってトイレまで我慢できず失禁してしまったりすることがあります。これらは脳室の拡大で前頭葉の機能が落ちて出現してくる症状と考えられています。前頭葉の機能が低下すると、無関心になったり注意力が無くなったりするためです。

■水頭症の種類

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■特発性正常圧水頭症の診断と治療法

非特異的な認知症、歩行障害、尿失禁の三徴候が認められ、頭部CTやMRIで脳室の拡大が確認されれば特発性正常圧水頭症が疑われます。次に、隋液タップ・テストを行います。隋液タップ・テストとは、腰から注射(腰椎芽刺)をして余分な隋液を抜き、その後の症状を観察する検査です。

突発性正常水頭症の場合、翌日以降に歩行状態が改善したり、注意力が上がってきたりします。一般的に、3日間連続で約30mlの隋液を抜いて症状が改善する場合、隋液の流れをよくする手術(隋液シャント術)が有効とされています。隋液シャント術を行う事により、歩行障害で約80%以上、認知症と尿失禁では約50%の患者さんで症状改善の効果がみられるとされています。

高齢者認知症患者の約5%が、突発性正常圧水頭症に関連するといわれています。適切な診断と手術により本人の症状が大幅に改善されるだけでなく、家族の介護も非常に楽になります。認知症・歩行障害・失禁症などの症状で思い当たる方は、ぜひ医療機関に相談してみて下さい。

■特発性正常圧水頭症チェックリスト

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■特発性正常圧水頭症の主症状

 

 

 

 

 

 

 

 

■突発性正常圧水頭症の歩行障害の症状

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