高齢者に多い疾患 認知症③(認知症)

 

 

 

 

 


脳血管性認知症とは

脳血管性認知症とは、脳の血管の病気である「脳血管性障害(脳卒中)」によって引き起こされる認知症です。脳血管性障害は、脳の血管が詰まる「脳梗塞」、脳の血管が破れて脳実質の中に出血を起こす「脳内出血」、脳の動脈瘤などが破裂し、脳の表面に出血が広がる「くも膜下出血」などがあります。
脳血管性障害(脳卒中)そのものによる後遺症は、障害された脳の部位によって異なり、さまざまな症状(麻痺、言語障害など)が現れます。一方、記憶をつかさどる部位である海馬は、非常にデリケートな部位であり、こうのような脳血管障害(脳卒中)の影響で徐々に機能が落ちてしまうことがあります。この海馬の機能低下や、脳全体の機能低下によって引き起こされる認知症が、脳血管性認知症です。

脳血管性認知症の特徴
脳血管性認知症は、脳血管性障害(脳卒中) の後は、しばらくたってから症状が現れる場合がほとんどです。脳梗塞の場合、片側の手足が動かしにくくなる方麻痺、呂律がまわらなくなったり言葉がでにくくなったりする言語障害、回転性のめまい、感覚が鈍くなる感覚障害などの症状がまず出現し、その後しばらく時間がたってから、認知症の症状が現れることが多いようです。しかし、認知症の症状が現れる前に、必ず脳血管障害(脳卒中)の発作があるとは限りません。本人が気づかないうちに、ごく小さな脳梗塞が繰り返し起きていて、それが原因で認知症の症状が徐々に出現してくる場合もあります。
アルツハイマー病は、ゆっくりとその症状が段階状に悪化していくケースがしばしばみられます。また、記憶力が大きく低下しているのに、判断力は比較的しっかりしていたりするような「まだら認知症」なども、脳血管性認知症にみられる特徴です。脳の機能に保たれている分野と、悪くなってしまう分野との差が出てきてしまうのです。
しかし、脳血管性障害(脳卒中)を発症した人すべてが、認知症を発症するわけではありません。

脳血管性認知症の検査方法と診断
認知検査を含め、神経内科にて診察します。併せて頭部CT(エックス線を使って脳の断面図を描きだす)、MRI(磁気を使って脳の断面図を描きだす)を行い、脳の形態や、脳血管性障害(脳卒中)の有無を調べます。
また、CTやMRIでは明らかな脳血管性障害(脳卒中)が見つからなくても、脳への血流が低下している場合もあるため、脳の血流をアイソトープを使って調べる検査(脳血栓SPECT)などが必要なこともあります。

脳血管性認知症の治療
認知症の症状を完治させる治療法は、残念ながらまだ見つかっておらず、先月号でお話しさせていただいたとおりです。アルツハイマー病の場合には、症状を和らげたり遅らせる治療としてドネペジル(商品名:アリセプト)が使用されています。 しかし、この薬は脳血管性認知症の治療に対しては健康保険が適用されません(平成22年2月現在)。
脳血管性認知症は、脳血管性障害(脳卒中)の再発を繰り返すたびに症状が悪化していくため、再発防止が重要になります。脳梗塞再発防止のためには、血栓ができるのを防ぐ、抗血小板薬(アスピリン、シロスタゾール、クロピドグルなど)や、抗疑固剤(ワルファリン)などの薬を使用します。また、脳出血の場合には、血圧を下げる降圧剤(アンジオテンシン変換酵素阻害薬、アンテジオンⅡ受容体拮抗薬)などを使用します。
また、脳血管性認知症といっても、アルツハイマー病を合併している場合もあるため、このような場合は、早期からドネペジル(商品名:アリセプト)を用いることが、重要と考えられています。

 

 

 

 

 

 

 

 


脳血管性認知症の予防には、脳血管性障害(脳卒中)の予防を

「脳血管性障害(脳卒中)」を起こす人の多くは、高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病をあわせ持っています。生活習慣病は、動脈硬化が進行すると、血管が細くなって詰まりやすくなり脳梗塞になります。また、血管の壁がもろくなって脳出血にもなります。したがって、脳血管性認知症の予防には生活習慣病の予防が非常に大切なのです。
生活習慣病はそのなのとおり、それぞれの生活習慣に密接して病気ですので、毎日の生活習慣を整えていく必要があります。特に重要なのが、食事と運動です。規則正しい食事で適切なカロリー摂取量を守らねばなりません。また、適度な運動は、蓄積した脂肪の減少と、筋肉量増加による基礎代謝量の増加を促します。生活習慣病を予防することは、脳血管性認知症の予防の第一歩です。

■脳血管性認知症とアルツハイマー型認知症の違い

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