STOP THE 介護離職 仕事と介護の両立 ~介護離職を防ぐために~

介護が始まってから、1年以内に転職や離職をしている人が5割以上

 一般的に、介護は専業主婦などの働いていない人が担い手となっているというイメージが強いようですが、総務省の就業構造基本調査によると、家族の介護や看護を理由に会社を辞めたり、転職した人は年間10万人。働きながら介護をしている人は約240万人。実は、介護をしている人の多くは働いているのです。

 (株)明治安田生活福祉研究所と(公財)ダイヤ高齢社会研究財団(以下ダイヤ財団)が、親を介護した経験のある全国の正社員2,268名を対象とした調査を実施したところ、転職者、介護専念者ともに、5割強の人が、親が介護状態になってから1年以内に離職しています。介護状態になったら「すぐに」 離職した人は12.9%もいました。

 何がきっかけで介護離職を決断したかの問いに対しては、「自分以外に親を介護する人がいない」と答えた人が最も多く、「そこには、核家族化や共働き化さらには未婚化により、介護の担い手が減少し、介護をするのは自分しかいないという状況があるのです。

 調査の結果(図参照)を見ると、「自分で親の介護をしたかった」という、回答がある一方、「仕事と介護の両立ができなくなった」という回答や、「職場で仕事と介護の両立に理解が得られなかった」など、家族を介護する社員へのハラスメント(ケアハラスメント)もあります。

 今後、団塊の世代が要介護になることを考えると、仕事と介護の両立をめぐる社会問題は、深刻化しそうです。

介護離職から再就職できた人は25%転職後の平均年収はダウン

 正社員だった人が介護のために転職した後、正社員として就職できた人は、男性は3人に1人、女性は5人に1人です。

 転職前と転職後の年収を比較すると、男性は転職前の平均が556.6万円なのに対し、転職後は341.9万円と約4割減っています。女性にいたっては、転職前の平均350.2万円が、転職後は175.2万円と半減しています(明治安田生活福祉研究所とダイヤ財団共同調査より)。

 また、介護離職で再就職できた人は25%という調査結果もあるなど、介護で離職せざるを得なかった人の多くが厳しい現実に直面しているのがわかります。

介護と仕事を応援する、介護休業制度

 家族の介護と仕事との両立の問題が深刻化しつつあり、働きながら家族を介護する人も増えてきました。そんな介護と仕事の両立を応援するのが介護休業制度。正式名称は「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」で、1995年改正により、男女労働者の介護休業の権利が法制化されています。

 当初、介護休業の期間は、同一家族について連続3ヶ月間を限度として1回限り認められていました。しかし、短期間の利用や、複数回利用したいとのニーズから、平成16年に、対象家族1人(同一家族)につき通算して93日(3ヶ月間)まで、要介護状態が生じるたびに1回ずつ、複数回に分けて介護休業を取得できるように改正されました。

 対象となる家族は、配偶者や自身の父母だけでなく、子供、配偶者の祖父母、同居の扶養親族祖父母や兄弟などが含まれます。

 制度は、右記に該当する家族がいる方が、介護休業制度を利用する場合、2週間前の申し出をして通算93日間の介護休業を取得できます(ただし、日々雇用者を除く)。正社員やパート社員、派遣社員、契約社員などの雇用形態は問いませんが、

○勤続1年未満の方

○申出日から93日以内に雇用関係が 終了することが明らかな方

○1週間の労働日数が2日以下の方

は、労使協定によっては対象外となるケースがありますので、お勤め先に確認をして下さい。

 状態が安定している要介護者であれば、便利な制度ではありますが、とかく高齢者は状態が急変しやすいものです。この制度を利用するには、2週間前までには申請しなくてはいけないため、緊急で休みたい場合には利用できません。

 また、2回目を利用する場合、介護を必要としない状態に回復し、再度要介護状態になった場合でない限りは取得できないなど、使い勝手が悪い部分もあることや、「職場に言いにくい」などの理由もあり、この制度の取得率は3.2%と低い数字に留まっています。

在宅介護の負担を減らすためケアマネや小規模多機能などを上手に活用

 そもそも「介護保険」は、専業主婦のような、働いていなくて「介護に専念できる人がいる」という前提に立っているところがあり、共働きや単身で働きながら介護するといった方々が多くなった現状には合わなくなっているようです。働きながら介護をするには、在宅で利用できるサービスの量が足りないのかもしれません。

 そこで、ケアマネジャーを上手に活用することをおすすめします。例えば、急な出張にも対応してくれるショートステイを案内してくれる。デイサービスから戻ってきたあと、帰宅するまでの時間を確保してくれるようなプランを作成してくれるなど、家族の働く時間なども考えてケアプランを作成してもらえるように、よく相談してみましょう。

 また、小規模多機能型居宅介護事業所は、24時間365日、利用者の状態や必要に応じて、「通い」を中心に「泊まり」「訪問」の3サービスを組み合わせて利用できますし、緊急時などにサービスを変更して利用できるというメリットがあります。また、月額定額制のため、介護保険利用限度額からはみ出す心配がありません(他サービス利用の場合を除く)。

 ただし、小規模多機能型居宅介護事業所を利用すると、他の事業所が運営するサービスを受けられなくなるというデメリットもあります。まずは、ケアマネジャーにご相談下さい。

介護をしながらでも、安心して仕事を続けるために

 どうしても家族の介護となると、一生懸命になりすぎるあまり一人で抱え込んでしまいがちですが、グループホームや老人ホームに入居する、あるいは、家族が仕事をしている間だけデイサービスを利用するなど、プロによる介護サービスに、大切なご家族をゆだねるという選択肢もあるのだということを、いつも頭の片隅においておきたいものです。介護が必要なご家族がどのような介護状態で、どんなサービスを組み合わせることが有効か、お近くのケアマネジャー常駐の介護事業所などにご相談されることをお勧めします。そして、現在、介護の必要性を感じていないとしても、介護はいつ始まるか分かりません。普段から家族や親せきの間で、積極的に話題にし、高齢のご家族が元気なうちから話し合うようにして良好な関係を保っていれば、いざというときに家族や親せきが互いに協力し合え、誰かに介護の重圧が偏ることなく、介護離職を防ぐことにつながるのではないでしょうか?

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