日常生活に潜む危険を排除して転倒予防

転倒場所のトップはなんと自宅!

 高齢者にとって快適で安全な住まい、しかしながら高齢者のけがや転倒などの多くは自宅の中で起こっているのが現状です。家庭内の高齢者の不慮の事故の割合をみると「転倒」によるものが60%と一番多く、小さな段差のある場所で起きています。自宅で転倒した場所は庭、居間、玄関、階段、寝室などが多く、特に年代が上がるほど室内での転倒が多くなっています(平成22年高齢者の住宅と生活環境に関する意識調査結果)。
 若いときであれば、転倒しそうになったとき、バランスを保って軽傷ですむ程度の転倒でも、高齢になると、筋力が低下しバランスを取る能力が低下することにより、受け身等の反応が遅くなる傾向にあります。例えば、つまずいて前のめりになった時にとっさに手が出ず、顔面をぶつける。ツルッと滑ってお尻を直接地面にぶつけてしまうなどです。
 高齢者は、骨密度が低下しているため、手首、腕の付け根、背骨、太ももの付け根などを骨折しやすい傾向にあります。特に太ももの付け根(大腿骨頚部)を骨折すると長期の入院が必要になります。長期の入院は、筋力の低下や心肺能力の低下を招き、介護が必要な状態になってしまったり、寝たきりを引き起こす原因にもなりかねません。
 介護が必要になった原因は、脳卒中21・5%、認知症15・3%、高齢による衰弱13・7%、関節疾患10・9%、転倒・骨折10・2%、その他の病気やけが28・4%(厚生労働省、国民生活基礎調査2010年)でワースト5に入っています。

室内に潜む危険を排除 今すぐできる予防策

 室内での転倒の多くは、家の中の敷居や畳など、わずかな段差でつま先が上がりきらずに起こります。また、家電製品のコードに引っ掛かったり、じゅうたんの角がめくれていてつまずいたりするケースもあります。なるべく動線に物を置かないようにして。マットなどはきっちりと止める、敷居になどには、ゆるやかな斜面をつけて段差をなくすことなども有効です。
 危険がいっぱいの階段には手すりの設置をおすすめします。階段の事故は、上るときよりも、下るときのほうが4倍も起こっているそうです。手すりは両側に設置できればよいのですが、もし片側のみにつけるときは、下りの時の利き手側に取り付けるようにしましょう。
 ただし、手すりをつける場所には、下地補強が必要です。業者に相談してから設置しましょう。また、要介護認定を受けている方は、要介護状態区分にかかわらず、20万円を上限として改修費の9割が支給されます(最高18万円の支給)。事前に書類の提出等が必要になりますので、設置する前に必ずケアマネジャーに相談して下さい。
 階段の段差部分に滑り止めや光るテープを貼ると踏み外しの防止になります。滑り止めのテープはホームセンターなどで購入できます。
 また、スリッパや滑りやすい靴下をはいて階段を上り下りしない。長すぎるスカートやズボンのすそも踏んでしまうと危険なので気をつけましょう。とっさの時に手すりにつかまれるよう、荷物を持って階段を利用しないなどの工夫もして下さい。

薬の副作用による転倒にも注意!

 転倒の原因は、身体状況(身体状況の変化、心理面、薬の副作用など)に関連した「内的要因」と、生活環境(住宅の構造、着衣、履物など)に関連した「外的要因」に分けられますが、内的要因と外的要因のリスクが重なると、さらに転倒の危険性が高まります。
 転倒の原因に「薬?」と思われる方もいらっしゃると思いますが、薬には必ずと言っていいほど副作用があります。風邪薬に含まれる抗ヒスタミン薬は、眠気、脱力、ふらつきなどの副作用。血圧を下げる降圧薬には、めまいや平衡感覚障害の副作用。認知症や精神が不安定な状態のある場合に処方される抗精神病薬は、全身の
だるさ、足腰の力の低下などの副作用を起こします。高齢者は、複数の薬を飲んでいる方も多く、また、内臓の機能が低下しているため、副作用が出やすいとされています。薬を飲んで、ふらつきなどを感じたら、転倒予防のためにも、かかりつけの医師に相談してみることも大切です。

日常生活でこまめに身体を動かし、転倒予防

 室内での転倒は、動線上(歩く範囲)の荷物を片付ける、段差を解消する、階段に手すりをつける、足元が暗い場合は明かりをつけるなどの工夫で回避することができます。また、薬の副作用によるふらつきや眠気、めまいなどは医師に相談することで解消できる場合もあります。
 加齢とともに起こる身体機能の低下による転倒を避けるためには、日常生活でこまめに身体を動かして予防しましょう。
○買い物、散歩など、積極的に歩く。
○掃除、洗濯、炊事などでこまめに身体を動かす。
○無理なくできる運動を継続する。
○趣味を生かして、楽しみながら身体を動かす。
 転倒の多くは、わずかな段差でつま先が上がりきらずに起こることもあります。つま先を上げるすねの筋肉を強化するには、椅子に座ってかかとを床につけたまま「1、2、3」と数えながら、ゆっくりとつま先を上げる。「4」で1呼吸おいて「5、6、7」と数えながらゆっくり下げることを、10回程度繰り返すと効果的です。
 スクワットも効果的です。両足を30度くらい開き、体重が足の裏の中心にかかるように立ちます。椅子に腰かけるように、おしりをゆっくり降ろし、膝の曲げは90度を超えないようにします。1日3回、5〜6回繰り返し行いましょう。腰の痛い方は、机に両手をついて、椅子からゆっくり立ち上がり、ゆっくり椅子に座るといいでしょう。
 毎日の家事や、買い物も身体活動の一つです。なるべく身体を動かすことを心がけ、体力、注意力、バランス機能の維持を保ちましょう。

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