気温の低さだけじゃない!冬の乾燥が不調を招くことも


夏と比べて15%も湿度が低い冬、暖房器具で室内の乾燥も進む
寒さが厳しくなるこれからの季節は、風邪などに注意が必要となりますが、体の負担になるのは低い気温だけではありません。とくに高齢者にとっては、湿度の低さも様々な不調の原因となります。気象庁の発表によると、2013年の東京都の場合、6〜8月の平均湿度は各月とも70%を超えていたのに対して、11月は55%、12月は52%と、15%以上も低くなっていました。さらに、室内では暖房器具などによって乾燥が進みます。エアコンだけでなく、コタツに入りっぱなしだったり、長時間電気毛布やホットカーペットを使用していると、乾燥はどんどん進んでしまいます。
 空気が乾燥すると、まず口の渇きや喉のイガイガを感じます。本来であれば、口渇中枢が働いて渇きを感知し、水分の補給が行われます。しかし高齢者の場合は、口渇中枢の感受性が低下していることが多く、喉の渇きなどに気づきにくく、水分補給が滞ります。
健康な状態の喉は水分をたっぷり含んだ粘膜に覆われていて、空気中のウイルスなどが体の中に侵入するのを防いでいす。ところが、空気の乾燥が進むと喉を覆う粘膜の働きが弱くなり、ウイルスなどを遮断する能力が低下します。空気が乾燥する秋や冬に喉が痛くなって風邪をひきやすいのは、このような要因があるためなのです。
セラミドの減少で皮膚の水分量も低下、室内の湿度は60%に保つのがおすすめ
粘膜だけでなく、空気にさらされている皮膚も乾燥の影響を受けます。年齢を重ねていくにつれて、体の代謝機能は低下していきますが、これによって皮膚の皮脂腺から分泌される皮脂量も徐々に減少していきます。皮脂は皮膚の表面を覆って水分の蒸散を防ぐクリームのような役割を果たしますが、これが減ることで皮膚は乾燥が進みます。また、皮膚の保湿に不可欠なセラミドも年齢とともに減少していきます。セラミドは、皮膚の一番外側の角質層という部分にある物質で、角質を構成する細胞のすき間をぴったりと埋める役割を果たしています。そして、スポンジのように水分や脂分を抱え込んで、皮膚にうるおいを与える働きも担っています。しかし、加齢に伴ってセラミドの量が減少すると、角質細胞の間を埋めている物質が少なくなるわけですから、細菌や紫外線など外部からの刺激も受けやすくなります。そして、水分や皮脂も失われていくのです。高齢者の皮膚の水分量は、若い人より%も少ないと言われています。
高齢者の皮膚は皮脂という〝バリア機能〞を失うとともに、セラミド不足によって保水機能も低下するため、乾燥しがちなのです。空気の乾燥が強まるこれからの季節は、皮膚の乾燥もより悪化します。
 高齢者の皮膚の健康を保つためには、60%ぐらいの湿度が望ましいと言われますが、11月と12月は室外でも50%前半の湿度ですから、暖房によって乾燥する室内では加湿器などを利用して最適な湿度を保つようにしたいものです。もちろん、湿度の管理は皮膚のためだけではありません。湿度が%以下まで下がると、湿度を嫌うインフルエンザウイルスの活動が活発になります。喉の粘膜の働きが低下していれば、途端に感染してしまいます。たとえ予防接種を受けていても、高齢者の場合は重症化する可能性もあるため、室内の湿度管理には細心の注意を払いましょう。
温度21℃、湿度65%の室内環境では、約16時間後にインフルエンザウイルスの感染力が99%落ちるという研究もあります。ただし、あまり湿度が高過ぎるとカビ発生の原因にもなるため、湿度60%程度に維持すると良いでしょう。
冬は65歳以上の95%に老人性乾燥症が起こる
高齢者が、テレビを見ている時に無意識に体を掻いていたり、化学繊維の衣類を着るとむずがゆさを訴えたり、布団に入って体が暖まるころに体中がかゆくなるなどの症状があるなら、老人性乾皮症の可能性があります。11月から3月までにかけてよく見られる症状で、加齢による皮膚の乾燥に空気の乾燥が加わることで起こります。かゆい部分を見ても、湿疹などはできていません。ただし、多くの場合では皮膚が白い粉をふいたようになっています。これが進行すると、魚の鱗のような鱗屑ができた
り、皮膚に浅いひび割れが生じたりもします。冬になると、65歳以上の95%に、老人性乾皮症の症状が表れるというデータもあります。
ちょっとした刺激でもかゆみにつながり、イライラしてストレスとなったり、夜眠れなくなるなどの悪影響も起こります。また、掻きむしることで傷がつき、細菌感染によってびらんを起こすこともあります。とくに、腰やお腹、太ももの前面やスネなど、服がこすれる部位に症状が強く現れます。入浴時に石けんでゴシゴシと洗いすぎたり、長時間お湯に浸かると、必要な皮脂まで洗い流して悪化につながることがあります。皮脂は入浴によって流れ落ちますが、洗浄してから皮膚が潤いを取り戻すまで、高齢者は若い人の倍の時間がかかります。また、かゆみのためにタオルなどで皮膚を強くこすることも、かゆみを悪化させて悪循環となるため注意が必要です。
フィトケミカルや黒い食材で減少したセラミドを補う
室内の湿度管理とともに、日常生活の中でも乾燥対策をこまめに行いたいものです。まず、喉の粘膜のケアのためには、食後や就寝前、起床時などに、細菌やウイルスなどを洗い流すためのうがいを習慣づけることです。その際、抗菌作用の高いカテキンを含むお茶を使うのも良いでしょう。外出時だけでなく就寝時にマスクをして寝るのも、喉の乾燥対策には役立ちます。皮膚の乾燥を防ぐには、入浴方法の工夫が効果的です。通常の石けんの多くは弱アルカリ性ですが、高齢者の乾燥した皮膚には刺激が強すぎます。そこで、体を洗うための石けんには皮膚表面のと同じ、弱酸性のものを使いましょう。また、体を洗う道具は、綿のタオルや柔らかいスポンジを使うか、手で泡を作って皮膚を優しくなでるように洗うのもおすすめです。ナイロンタオルを使い慣れている人はゴシゴシと洗うことによるさっぱり感を好みますが、皮膚の乾燥には悪影響が大きいのでやめた方が良いでしょう。
 そして入浴後には、保湿効果の高いクリームを全身に塗るようにします。減少しているセラミドを補うための食事の工夫も有効です。セラミドを体内で作り出すために必要なのが、フィトケミカルという成分です。これは、野菜の色や香り、苦みなどに関わる成分で、ブルーベリーなどに含まれるアントシアニン、お茶のカテキン、大豆のイソフラボン、コーヒーのクロロゲン酸、海藻のフコイダンや蕎麦のルチンなどを指します。また、黒い食材にはセラミドがたっぷりと含まれています。黒豆やヒジキ、黒ゴマ、ゴボウ、蕎麦などが黒い食材に含まれるので、積極的に摂るようにしましょう。

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