50~60代をピークに30~70歳代に多い「うつ病」

50~60歳代をピークに、30~70歳代に多いうつ病
今や、うつ病を経験した人は、100人に3~7人という調査結果があります。さらに、厚生労働省が3年ごとに行っている患者調査では、うつ病を含む気分障害の患者さんが近年急速に増えていることが指摘されています。女性の場合、50~60歳代が多くなるのは、更年期により女性ホルモンの分泌が変化することや、親の介護ストレスなどがきっかけとなることがあるようです。年代別の自殺者データを見ると、働き盛りの年代や高齢者に、自殺者が多く見られ、自殺する人の1/3~半分程度は背景にうつ病があるとされています。

憂鬱な気分が長期にわたって続く

では、うつ病とはどんな病気なのでしょうか。人は、嫌なことがあったり、つらいことがあれば気分が落ち込んだり憂鬱な気分になります。しかし、このような「うつ」は、原因が解決したり、気分転換をしたり、ある程度の時期が過ぎれば自然に回復します。ところが、うつ病によるうつは、原因が解決しても抑うつ気分が長期にわたって続き、様々な精神症状や身体症状を伴い、普段通りの生活を送るのが難しくなったりします。うつ・うつ症状とは大きく3つに分けられます。
〇大うつ病 一般的にうつ病と呼ばれている。症状は強く現れるが、ある程度の期間が経過すると良くなっていくことが多い。
〇気分変調性障害 症状はあまり強くないが、慢性化し症状が2年以上続くことが多い。
〇双極性障害 一般的に「躁うつ病」と呼ばれている。抑うつ状態と、気分が異常に明るくなり、活発に活動するそう状態を繰り返す。

抑うつ症状だけではない、うつ病の症状
うつ病で現れる症状は、気分の落ち込み、抑うつ感、おっくう、意欲が出ない、考えがまとまらないんどの「精神症状」だけとは限りません。精神症状と一緒に、眠れない、疲れやすいといった「身体症状」が現れる場合もあります。これは自律神経とホルモン系、免疫系がうつ病により影響を受けるためです。自律神経の失調は、脈が速くなる、汗をかきやすくなる、下痢などの症状につながり、ホルモン系の失調は、のぼせ、冷えなどの症状を引き起こすこともあります。

高齢者とうつ病
急速な高齢化に伴い、うつ病に罹患する高齢者も増えています。高齢者のうつ病有病率は13.5%で、認知症と並び高齢者に多くみられる精神疾患となっています。高齢者のうつ病は退職や子どもの独立、転居などに伴う環境の変化や、配偶者や身近な人との死別、老化に伴う精神的・身体的な衰え、身体疾患の罹患などが原因となり始まることが多いようです。きっかけとなる出来事によっては、本人も周囲も「年齢のせいだからしかたがない」と思いこみ、受診せずに重度化してしまうケースも見られます。頭痛やめまい、しびれ、肩こり、耳鳴り、吐き気、食欲不振、不眠など、身体症状を訴えることが多いのが特徴です。そのため、内科や外科を受診し、検査を受けても「どこも悪いところはありません」と言われると言う方も少なくありません。また、身体の不調を訴えると同時に不安や集焦感が強く、「何もしたくない」「一日中ぼーっとしている」「反応が鈍くなる」「さっき言ったことを忘れる」などの認知症と似ている部分もあるため、認知症と間違われることもあります。
高齢者のうつ病は、ほかの病気や衰えとの関係もあり専門医でも問診だけでは、診断が難しい病気です。例えば「体がだるい、疲れている」という訴えがあっても、身体疾患が原因で起きている症状なのか、うつ病による症状なのか切り分けが難しいことがあります。また、服薬している薬の副作用によって起きているケースもあるからです。このように、高齢者のうつ病は、診断や治療が難しくなるうえ、精神面や健康面などの影響も受けやすいため、自殺に傾きやすくなると言われています。ささいな出来事がきっかけで発症につながることもあります。「なんとなく今までと違うな・・・」などと感じたら、早めに専門の病院への受診をおすすめします。

 

 

 

 
 

 

 
「気もちの持ちよう」でけでは治らない
うつ病は、セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミン等の脳内伝達物質の異常を来している「病気」といわれています。そのため、治療には、これらの脳内伝達物質のバランスを改善し回復するような「抗うつ薬」が用いられます。しかし、高齢者の場合、加齢により薬物代謝が低下するため、副作用に注意しながら薬物治療を行います。また、うつ病になると、判断力の低下や、物事の処理能力が低下し、心身共に疲れた状態にあるため、「十分な休養」もかかせません。うつ病は、「気持ちの持ちよう」だけでは治すことができません。周囲の人達は、「本人が一番辛い」ということを理解して下さい。本人は「がんばりたいのにがんばれない」ことで苦しんでいます。「しっかりして」「がんばって」など過剰な励ましや心配は避け、患者さん本人のペースを大切にし、ゆっくり休める環境を作ってあげることが大切です。

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